2017年03月24日

関係にあった

2017年3月20日、都議会にて豊洲市場の問題に関する百条委員会が開催され、そこで石原元知事に対する質疑が行われた。
 僕はその様をテレビで観た。もちろんリアルタイムではなく、その後の各テレビ局による録画映像だ。だからその際の雰囲気というか空気のようなものをはかることが難しいのだけれど、それでもやはり各質問者、つまりは各都議会議員は石原元都知事の言動に終始押されていたのが明らかだった。いや、もうはっきり書こう。

 格が違う。
 役者が一枚も二枚も上。

 僕は別に石原慎太郎を支持しているわけではない。支持するどころか、どちらかと言えばあまり好きではないタイプの方だ。心情的には質問者である各都議会議員を応援し、当時の豊洲移転に至る具体的な経緯等に関する疑問点などを当時の最大責任者であった石原元都知事に鋭く切り込んで欲しかった。更には、ただでさえ手強いタヌキ親父の石原氏なのだから、そこは相当の覚悟を持ってやって欲しかった。
 しかし実際のやりとりを見るに、これはもう石原元都知事に、いいようにやられたというようにしか僕には見えなかった。その中でも共産党議員は、まだ少なからず石原元都知事にぶつかっていこうという気概のようなものを持っていたように感じたのだが、他の質問者、特に最後に質問に立ったどこかの会派の議員さんなどは、もう完全に石原氏にいいようにあしらわれているようにしか見えなかった。
 確かに一時間という短い時間を各党や各会派で分け合うわけだから、それぞれに与えられた時間が非常に短く、石原氏に対して深く突っ込むにまで至ることが難しい環境下であったことに対しては、同情する余地があると思われるのだけれど、それでも見ていて何だか不甲斐なく思えた。こんな内容では「百条委員会を開いたのは次の選挙で強調できる実績を作りたいため」と言われても仕方がないだろう。せっかくあのような場を設けることができたのだ。各党や各会派は、もっと他に適格者がいなかったのだろうか。その点が僕には非常に残念だった。
 あの百条委員会の結果は、今後の豊洲移転問題にどのような影響を与えるのだろうか。おそらくあの内容では真相解明には程遠いから最大限良いように言っても参考程度にしかならないだろう。僕は東京都民ではないが、それでもあの結果には大いにガッカリである。

 結局、いつの時代もそうだけれど、過去に政治家と官僚がやってきたことの真相が国民の前にきちんと正しく提示されるなんてことはありえないのだろう。基本は「隠蔽」もしくは「改竄」(かいざん)だ。情報開示意識が強まって相応の法律ができても出さないものは何としてでも出さないようにする。覚えていても決して話さない。「記憶にない」と言えば確固たる証拠がない限り、周りはそれ以上どうすることもできないことを熟知しているからだ。それ以前に、もし確固たる証拠のようなものがあったとしたら、どのような手段を使ってでもその隠滅を図るだろう。(個人的に思うことだが、この時代においても僕らの知らない所でそういう点において人の命さえ左右されているのではなかろうか。例えば過去にあった豊田商事会長刺殺事件やオウム真理教村井秀夫刺殺事件なんかは、そういう点で今でも僕には非常に疑わしく思える。また故中川昭一氏や故中川一郎氏、それに故新井将敬氏といった過去の政治家の不可解な死も怪しさを否めない。他にも世間には伝わっていない例が山ほどあると思える。)そして最後には事を自分達の都合のいいものへとすりかえる。それが時の権力や行政を牛耳る者たちの常であることは歴史を顧みれば明白だ。

 百条委員会の様を観て、そんなことなどを含めて色々なことを考えていたのだけれど、それから3日後の2017年3月23日、今度は国会で森友学園の籠池泰典氏に対する証人喚問が行われた。
 僕はこの証人喚問が実施されることが決まった時、籠池氏の身を案じた。これは決して僕が籠池氏を支持しているとかの話ではない。(その点を言うのなら僕は籠池氏はもちろん安倍総理や明恵夫人、及びその他この問題に関わっていたとされる人間の誰をも支持していない。世間の多くの方同様、真相が明らかになることを願っている一市民だ。)僕が籠池氏の身を案じたのは、前述の百条委員会の件で書いたようなことが起こるかも知れない、つまりは籠池氏に余計なことを喋られたら困るというような人や機関等によって、籠池氏の命が危険にさらされてしまようなことが起こりかねないのではないかと危惧したのだ。
 幸いなことに籠池氏は当日、無事に国会に入り証人喚問に対応した。そこで繰り広げられた質疑応答や証言は各メディアで報道されているから、その内容についてはここでは挙げないが、僕には一点だけ気になる点があったから、それをここでは挙げておきたい。
 それは証言した内容に関してではない。僕が気にしたのは、あの場で籠池氏から初めて名前を明かされた何人かの人の「身の安全」だ。籠池氏が話したことがどこまで本当なのかはわからないが、それでも政治家や行政を巻き込んだこの問題は、今までがそうだったし今後もそうだと思うが、関わった人間が発する言葉に、関係していた人間たちが凄まじく敏感に反応する類のものだ。だから中にはやはり彼らに余計なことを喋って欲しくないと思う輩が存在していてもおかしくはない。新たに名前が明かされてしまった人間の身に危険が及ばないとは誰にも言い切れない。だから思うのだ。そういう人たちにもきちんと警護をつけるべきだと。

 この森友学園問題、いったいどんな形で決着が着くのだろう。同じ「証人喚問」で思い出すのはロッキード事件だ。あれは当時の前内閣総理大臣であった田中角栄が受託収賄等の疑いで逮捕されるという前代未聞の事件であったが、他にも当時の運輸政務次官や元運輸大臣、それにCIAと深い関係にあった児玉誉士夫や小佐野賢治といった人物も逮捕され、更には関係者の中から多数の不審死者を出すなどした。まさに第二次世界大戦後の疑獄事件を代表する大事件だった。
 では今回の森友学園問題はどうだろう。ロッキード事件に比べれば確かにスケールは小さい。しかし誰かが不正なことをしたということと、これから何が飛び出してくるかわからないという点では似たようなものだ。今後の成り行き次第では、もしかするとロッキード事件に勝るとも劣らないほどの大事件へと大化けするかも知れない
 だから僕は祈りたい。
 どうか誰一人として、この問題で命を落とされることのないようにと。
 間違っても当事者や関係者の誰かが自殺したり不審な死に方をしたりして「死人に口なし」で、うやむやに終わることになったりしませんようにと。

Posted by ぬにねなに  at 16:31 │Comments(0)

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